
2026年4月1日、渋谷のラジオは開局10周年を迎えました。
2016年、コミュニティFMとしてスタートした渋谷のラジオは、大都市の渋谷で、もしも大きな災害が起きた時、この街にいる人たちがどう助け合えるのか、その問いから生まれて、10年間「渋谷のみんながつながるラジオ」として人と人とをつないできました。
10周年の節目を迎えた渋谷のラジオが新たに掲げたテーマが「渋谷の みんなを つなげる ラジオ」。
一人ひとりの声や想いが、未来をつくります。
渋谷で暮らす人の声や想いをこの街に響かせながら、新しいつながりを生み出していきます。
そんな渋谷のラジオの開局10周年を記念して、2026年4月1日、
渋谷のラジオ開局10周年特別番組「渋谷のみんなをつなげるラジオ」を放送しました。
渋谷駅東口地下広場に設置された特設スタジオからは8つのトークセッションをお届けしました。
14時からの「渋谷×ラジオ」のトークセッションでは、渋谷のラジオ理事長・西樹さん、名誉局長・箭内道彦さんをお迎えしました。
渋谷のラジオは、この10年、どのように歩んできたのか。
長く関わるお二人と島田さんだからこそ語れる、渋谷のラジオのこれまで。
そして、渋谷のラジオが10周年を迎え、メディアを取り巻く変化がめまぐるしい「いま」。
これからの渋谷のラジオはどのような役割を担っていけるのでしょうか。
西樹さん(以下、西):渋谷のラジオの「聴くラジオから出るラジオへ」というコンセプトは未だにやっぱり(渋谷のラジオの)根幹を担っているところもありますし、スタジオの前室が部室みたいな。そういう感覚になるところもあるし、コミュニティFMの新しい形のコンセプトをしっかり作ってくださっていることが、この 10周年を支えてくださったんだなというふうに改めて思います。
箭内道彦さん(以下、箭内):あっきー(島田さん)もそうですけど、たくさんのボランティアの方々や企業、そして渋谷区にも支えていただいて、ここまで来ました。今日しみじみ思い出してましたね。本当にたくさんの人に助けられて、恩返しもしきれないまま、今日を迎えていますけど、さまざまな仲間たちがこの渋谷のラジオを守ってくださっていることに感謝しかございません。
西:僕が理事長になったときに、一つのキャッチフレーズみたいなもので、「渋谷のみんながつながるラジオ」というセンテンスを1個添えようということで、それ以来タイムテーブルの下に必ず入っているんです。そして、この 10周年を機に、「渋谷のみんなをつなげるラジオ」に変更しました。本当に微妙な変更なんですけど。今までは、箭内さんが作ってくださった、いわゆるラジオに出ることにつながっていくという、結果的な、「つながる」部分の価値を見出していったんですが、10周年、これから先10年を考えるときに、もう一歩踏み込んで、我々が能動的に渋谷の人をつなげる役割を担っていかなきゃいけない、ということで、そこのキーセンテンスをちょっとだけ今日から変更させていただきました。
島田亜紀恵さん(以下、島田):新しいタイムテーブルでも、実はそこがちょこっと変わってるんですよね。
西:かなり気づきにくいですけどね。ぜひみなさんに覚えていただきたい。
箭内:僕が大学でデザインを教えてても、コミュニケーションって言葉を大事にしてる先生がたくさんいらっしゃって、「伝える」と「伝わる」は違うんだぞっていう。そこと一緒ですよね。「つながる」と「つなげる」。
西:やっぱり気持ちがだいぶ違ってくるかなと思いますね。
島田:西さんが先ほど、前室が部室みたいな感じっておっしゃってましたが、その部室感がちょっと途絶えてしまったのが、まさにコロナ禍だったと思うんですね。なかなかスタジオにも集まれなかったっていうところもあって。ただその中で箭内さんが 10時間のお家から生放送をやってくださいました。スタジオには、本当に人が集まれなかったので、私とディレクターの江口さん二人がスタンバイしてまして。箭内さんはじめ、いろんな素敵なゲストさんがお家からつながってくださって。まさにあのときにラジオの力を感じたんですけれども。
箭内:やっぱり渋谷のラジオっていうサイズ感だからこそ、フレキシブルに動けたっていうのもありますね。
島田:あのときに私、個人的にはですけど、ラジオってやっぱり魅力的だなというか。すごく力があるなっていうふうに思いました。箭内さんはあのときどんなことを感じてらっしゃったのですか。
箭内:コロナ禍があって、コロナのレギュレーションっていうかね。感染が広がらないようにしながらも、どんなふうにラジオを届けていこうかっていう。もちろん会えることは一番大事ですけど、電波によって人と人がこうやって一緒にいられるっていうのは、人類のとっても大きな発明なんだなっていうふうに改めて、あのとき思いました。
島田:うん、そうですよね。本当に、いろんな人と会えないけど、つながることができるんじゃないかっていう可能性も感じました。
西:Zoomがちょうど出てきた時に、それまで大きな放送局も基本的にはゲストは生で出るか収録で出るものだったのが、大きな放送局も含めてZoomもありっていうことになって。声でつながることができれば、手段はいろいろあっていいじゃないかっていうふうになったのがちょうどコロナ禍で。それ以来の渋ラジも、Zoomもオッケーになってきたんですけど。やっぱりそういう価値観がちょっと変わることによって、範囲をすごく広く考えられるようになったかなと。今たまたま遠くにいらっしゃるけど、その方と共演することが可能になったという面では、非常に広がりが出たような気も結果的にはしますかね。
箭内:あっきーは何を感じてますか。渋谷のラジオについて。ちょっと大きな質問になっちゃうけど。
島田:そうですね。私はやっぱりラジオが好きなのは、同じ時間とか、同じ場所にはいないんですけど、同じ空間にいるっていうのをリアルにその瞬間共有できるっていうことにものすごく幸せを感じますね。それによって嫌なことも忘れられたりとか。ひとりじゃないなっていうか。まあ、ひとりじゃないなって思っているかはわからないんですけど。なんか力強いというか、生きてるなって感じがするっていうか。そういうことをやっぱりラジオでは感じるんですけど。特に渋谷のラジオは本当にいろんな方々が集まっていて。ボランティアスタッフの方々も世代国籍問わず、そして職業とかも関係なく、立場関係なく集まってつながれるっていうのはすごく魅力的で。それは、リアルに会えることもそうだけど、リスナーさんとか少し距離がある方々にとってもそこまで距離感の違いは感じないというか。そういう場所になってるなっていうのをいつも感じております。
箭内:渋谷という街は顔が見えないって言う人も前はいたけど、そんな渋谷で対面していくってね。とっても大事なことですよね。
島田:うん、そうですね。この渋谷のラジオに魅力を感じてくれる若い世代もたくさん集まってきてくれて、それが私は今すごく嬉しいなって思っています。
さあ、これからの渋谷のラジオはどうしていくべきでしょうか。
西:ラジオは、媒体的にはオールドメディアだとも言われてますけど、やっぱり、今思うと、例えば映像とか写真とかテキストの情報はネットで溢れてるんですけど、音っていうのは意外としっかりしてないんですね、ある意味。
だから、渋谷の音っていうのをわれわれはちゃんと記録もしていきたいなと思うので、今回のタイムテーブルの表紙にさりげなく“VOICE OF SHIBUYA”って入れたんですよ。
島田:結構大きく出てます(笑)
西:(笑)やっぱり、大きな渋谷の声を届ける役割をもっともっと担っていけたらいいなと。100年後の人にね、 100年前の人たちはこんなこと喋ってたんだねっていうのを残していきたいぐらい。その渋谷の日常の声というのをどうやって伝えて記録していけるかということをもっと突き詰めていくと、もしかしたら電波だけではなく、ネットだけではなく、いろんな伝え方があるかもしれない。というふうに考えると、このボイスっていうのをキーワードに据えて、これから10年間見据えていっていいんじゃないかっていうふうに思っているところがあります。
島田:声、ボイスですね。
西:シンプルですけどね。シンプルだけど、やっぱり力強さがあるキーワードの一つだなというふうに思っているんですよね。
島田:箭内さんはいかがですか?
箭内:今ね、西さんがオールドメディアっていう単語を使われましたけど、オールドメディアって、今じゃまた意味がちょっと変わってきて、感覚やセンスが時代遅れのメディア、昔の物差しで今を語っているメディアがそう言われるようになってきてね。
ラジオは逆に違うと思うんですよ。ニューエストメディアだと僕思うんですけど、今、西さんがおっしゃった「声」っていうのは、まさに今のリアルタイムな人々の肉声ですから、時代遅れになりようがないというか。昔、広告の会社にいたのですが、4媒体っていうのがあったんですよね。テレビ・新聞・雑誌・ラジオで、そこにいくらお金使ってるのかみたいな。今、 7兆円ぐらいになってるらしいんですけど。それから、インターネットが現れて、ラジオが抜かれたってニュースが何年前だろう。 5、6年前にあって。もう今や1位なわけですよ、インターネット。使われてる広告費がテレビの倍なんですよね。そんな中、ラジオは順番で見ると最下位なんだけど。本当は進むべきベクトルが逆に180度変わればトップランナーになっていくわけですよ。そのタイミングっていうのは必ず訪れると思ってて。だから、ラジオの火を絶やさないって言っちゃうと、もうラジオが風前の灯火みたいに聞こえるけど、ラジオの力を信じて、みなさんのご理解とご協力をいただきながら、みんなでこの場所を育てて、つないでいってほしいな、僕も一緒につないでいきたいなと思ってます。
島田:ありがとうございます。これからのわたしたちができることはたくさんありますよね。西さん。
西:そうですね。渋ラジができることもいっぱいあるし、決して放送だけではなく、イベントもそうだし。いろんなプロジェクトを含めて、まさに「渋谷のみんなをつなげるラジオ」っていうことですね。この 10年を機に、力を入れていって、存在感のあるラジオ局になっていきたいなというふうに思いますね。
島田:多くの方に知っていただいて聞いていただくことが、結果的にはいざという時に役立ちますから、われわれはつなげていかなきゃいけないのだと思います。
■トークセッション全編のアーカイブはこちら
https://note.com/shiburadi/n/nfdb29292205b?sub_rt=share_pw
